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株式会社ランドスケープ・プラス|LANDSCAPE PLUS LTD

【TOPIC】新年明けましておめでとうございます。         

  • 執筆者の写真: ランドスケープ・プラス
    ランドスケープ・プラス
  • 2 日前
  • 読了時間: 14分

更新日:4 時間前


皆さま、新年あけましておめでとうございます。ランドスケープ・プラス代表の平賀です。旧年中は多大なるご支援とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。

私たちランドスケープ・プラスは、1月7日より2026年の業務を開始いたしました。年始よりご挨拶をお寄せくださった皆さまには、あらためて御礼申し上げます。

本メールにて、新年のご挨拶と年始の所感をお伝えさせていただきます。。



「おもしろきこともなき世をおもしろく、すみなすものは心なりけり」


この言葉の上の句は、幕末の志士である高杉晋作による辞世の句です。下の句は、勤王の歌人であり彼を看取った野村望東尼によるものと言われています。

国際化を迫る西洋諸国によって日本の社会制度や価値観が大きく揺らぐ中、高杉は世界と向き合うことの必要性と、日本の文化や精神を守り抜くことの狭間で葛藤しました。そして、置かれた状況をただ嘆くのではなく、自らの関与によって世界の在り方そのものを変えていくことを決意します。激動の時代においては、ブレない覚悟とポジティブな姿勢を持つことが大切であることを伝えるべく、二人はこの言葉を後世に残したのだと私は受け止めています。

さて、年始早々、国際社会の緊張を象徴する出来事が相次いで報じられました。国境を越えた相互依存が進む一方で、自国の論理や力を優先する動きが各地で顕在化し、国家間の対話や信頼のあり方そのものが改めて問われているように感じています。

情報や主張が「デジタルなプラットフォーム」を通じて瞬時に拡散される時代にあって、立場や価値観の異なる者同士が、現実の空間で向き合い、同じ時間を共有しながら合意形成を図ることは、以前にも増して難しくなっています。だからこそ私はこの数年間、世界の安定や地域の安全を支えるための「リアルなプラットフォーム」を、いかに社会の中に実装できるのかを考えてきました。

「おもしろきこともなき世を、誰もがおもしろいと思える社会にしていきたい」。そのような考えに至った私なりの心の置きどころを、本文にてお伝えできればと思います。長文となり恐縮ですが、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。



グローカリズムのプラットフォームとなるランドスケープ


社会変容のスピードは年々加速し、先行きが見えにくい時代が常態化しています。テクノロジーの進化、気候変動の深刻化、価値観の多様化と分断。グローバルな変化の波が押し寄せるいま、私たちはしばしば「状況が落ち着くのを待つ」「正解が見えてから動く」という姿勢を取りがちです。しかし私はこれまでの経験を通じて、変化とはピンチではなく、新たな価値を生み出すチャンスであることを確信しています。2026年、私たちランドスケープ・プラスは、先行きの見えにくさを嘆くのではなく、変化そのものを「おもしろがる力」を組織運営の原動力に据えて、世界を動かす未来の価値を、自らが生きる場所から生み出すことに挑戦していきたいと考えています。

 

私たちランドスケープ・プラスが一貫して向き合ってきたのは、人と自然の営みが織り成す、かけがえのないランドスケープを、単なる空間づくりとしてではなく社会を支える仕組みづくりとして捉え直すことでした。ランドスケープは、人と自然、個人と社会、グローバルとローカル、異なる価値観を静かにつないでいく力を持っています。そしていま、帝国主義的な「ナショナリズム」が台頭する中、ランドスケープの世界では、「グローバリズム」と「ローカリズム」が互いを補完し合う「グローカリズム」が進化を始めています。この言葉は、地球規模の視野を持って地域の特性や個性を尊重しながら、それらを結びつける思想や活動を意味します。地域独自のランドスケープを「グローカリズムのプラットフォーム」として捉え直す視点は、持続可能な社会基盤や経済基盤の構築が急務である日本において重要な政策的かつ実践的テーマです。

それぞれの土地の歴史、気候、産業、コミュニティが凝縮する「生きた資産」を地域の基盤にすることで、グローバルな競争力とローカルな持続性を両立させることが可能になります。ランドスケープを、単なる自然再生や環境保全の手段として扱うのではなく、グローバルな価値観をローカルな文脈で実証するための目的として位置づけること。そこに、未来の価値を生み出す鍵があると私たちは考えています。

以下に、この考えを実践してきた二つのプロジェクトをご紹介します。



RJRプレシア東十条ガーデン

ランドスケープを基盤にしたブランディングと価値創造の実践


近年、Netflix や YouTube などのネット配信を通じて、韓国ドラマや日本のアニメ作品、いわゆる「聖地」が世界的なブームになるなど、ローカルな特色が強い場所ほどグローバルな価値を持つ傾向が顕著になっています。この流れは、企業ブランディングにおいても、自らのアイデンティティやルーツを見つめ直し、地域の文化的背景を現代的にアップデートする動きを後押ししています。画一的な商品や空間が溢れる時代だからこそ、どこで、誰と、どのような価値を共有するのかが、改めて問われているのだと感じています。そのような考え方を具体的なかたちにした取り組みの一つが、RJRプレシア東十条ガーデンです。

 

2025年春、東京都北区に完成した本プロジェクトは、JR九州が展開する賃貸マンションブランド「RJR」シリーズの一環として計画されました。私たちランドスケープ・プラスは、ランドスケープを起点とした事業ブランディングの強化と新たな価値創造を求められ、基本設計段階より参加することになりました。しかし、先行して検討されていた現行案には、近未来の社会変化や環境変動に対する明確なビジョンが見られませんでした。そこで私たちは、この場所が将来にわたって地域の基盤となり得るランドスケープを実現するための方針策定から着手しました。

解くべき課題は大きく二つありました。一つは、計画地が北区のハザードマップにおいて浸水区域に指定されていることへのリスク対応です。もう一つは、都市計画道路に面した敷地条件により求められる、約9mの壁面後退区域における空地活用への対処です。私たちはまず、周囲の地形や土地の成り立ち、地域の歴史を丹念に調査しました。その過程で、江戸期には近傍の集落が約1mの盛土を施して家屋を建てていたこと、また大正期には王子製紙工場へとつながる鉄道軌道が、単に盛土上にレールを敷設するだけでなく、斜面に樹木を植えることで法面の安定化を図っていたことを示す史実や文献に行き着きます。これらの歴史的根拠に加え、計画地が小学校や病院に隣接していること、そして都市計画道路の事業化が当面見込まれない周辺状況を踏まえ、私たちは敷地の基盤形状を再構築していきました。気候変動社会においては、壁面後退によって生まれた空地を盛土することで、マンションの1階レベルを水害から守ること。少子高齢化社会においては、児童や高齢者にも配慮した、ウォーカブルな社会基盤としての道路拡幅の在り方を示すこと。こうした考え方を統合し、盛土によって生まれる緩やかな高低差を、単なる防災対策ではなく、街路から建築、そして緑地へと視線と動線を自然につなぐランドスケープの骨格として構想しました。この整備方針が、国内外でのさらなる事業展開を見据えた際にも有効な「グローカリズムのプラットフォーム」になり得ることを、プロジェクト関係者と共有し、所管する役所の了解を得ることができました。

 

基盤整備の方針が定まった後、JR九州住宅開発部門の若手メンバーを中心にワークショップを重ねました。そこで改めて確認されたのは、九州という地域が持つ文化や産業の強みを活かし、賃貸住宅の価値創造に挑戦するという共通の意思でした。そして、住民同士や地域の人々が自然に顔を合わせ、新たな関係性が育まれていくための仕掛けとして、九州の食材を提供するカフェレストランをマンションのグランドレベルに併設するという構想に至ります。盛土によって安定した地盤と緑豊かな外部空間が確保され、屋内外が連続するランドスケープが成立していたからこそ、低層部を地域に開いた事業として成立させる判断が可能になりました。

事業パートナーとなるカフェレストランのオーナーは、東京・谷中で「九州の恵みと生産者の情熱」を、物販や飲食を通じて伝えてきた人物です。九州を愛する彼の真摯な姿勢と、生産者の素材を見極める確かな審美眼に共感し、私自身が何度も足を運びながら、このプロジェクトへの参画をお願いしました。彼の料理は決して自己主張が強すぎることなく、生産者の素材を尊重した、滋味深く優しい味わいが特徴です。皆さまにもぜひ訪れていただき、東十条にいながらも、九州を旅するような感覚を味わっていただければと思います。

2025年春の完成後も、私たちはこのランドスケープを完成形として固定するのではなく、育ち続ける地域の基盤として捉え、入居者や地元住民に向けた場づくりと情報発信を継続しています。九州の食をテーマにしたマルシェイベントや、地域の人々とともに取り組む防災イベントなど、空間の特性を活かした活動を事業者と協働で展開しています。JR九州が長年培ってきた「安全」をハードの基盤に、「サービス」をソフトの基盤に据え、地域の特性を読み解きながら、日常時の快適性と災害時の安全性を両立させるランドスケープは、完成した瞬間がゴールではなく、都市とともに更新され続ける存在です。事業の持続性を促すランドスケープこそが、これからの時代における「グローカリズムのプラットフォーム」になり得ることを確信できたプロジェクトとなりました。

 

RJRプレシア東十条ガーデンのプロジェクト詳細



虎ノ門一丁目東地区再開発(TORANOGATE)

グローバル都市の中枢で実践するローカル・ナレッジの再編集


RJRプレシア東十条ガーデンが、生活者の足元から地域の基盤をつなぎ直し、人と自然の関係性や地域文化を丁寧に育てていく「生活圏スケールのグローカリズム」であるとすれば、虎ノ門一丁目東地区再開発(TORANOGATE)は、ビルの地下から屋上、さらには都市圏全体へと環境と人の流れを再構築する「都市圏スケールのグローカリズム」を実践するプロジェクトです。国際的な都市間競争が激化する中で、地域独自の知恵や物語、すなわちローカル・ナレッジを、いかにしてグローバルなイノベーションへとつなげていくか。その問いに対する一つの答えを、ランドスケープのコンセプトで構想しました。

 

近年、環境問題や都市課題への対応においては、「Think Globally, Act Locally」という考え方が共有され、グローバルな技術革新や情報ネットワークを土台としながら、それぞれの土地に適した解決策を実装する自律分散型社会への移行が進んでいます。TORANOGATEは、こうした時代背景のもと、グローバル都市・東京の中枢において、ローカルな知の再編集を通じて新たな価値を生み出すイノベーション拠点として位置づけられました。

国家運営の中枢を担う霞が関に隣接し、国際戦略の要衝として位置づけられる虎ノ門一丁目東地区。世界中から情報・資本・人材が集積する一方で、その足元には江戸期以降に培われてきた都市形成の知恵や、水と緑を基盤とした環境循環の仕組みが幾層にも折り重なっています。本プロジェクトでは、そうした水脈や地脈といった目に見えにくいローカル・ナレッジをデザインの源泉に据え、計画地のポテンシャルを関東平野という地政学的視点から読み解きながら、バーチャル思考が加速する現代において、生命感のあるリアルな空間や時間を都市に実装したいと考えました。

ランドスケープのデザインにおいて着目したのが、計画建物の高さが関東平野周縁部の標高と同じ約180mであるという空間的スケール、そして計画地周辺が江戸という世界最大級の環境循環都市を上水道の整備により約200年以上にわたり支え続けてきたという時間的スケールです。最先端の技術や都市機能を備えたグローバル志向のアーキテクチャーに、江戸の土木技術や上水システムに着想を得たローカル志向のランドスケープを重ね合わせることで、時空を超えて機能する「グローカリズム時代のプラットフォーム」を創出できるのではないかと考えたのです。その象徴的な存在として着目したのが、玉川上水です。

玉川上水は1654年に整備を完了しますが、当時から虎ノ門とは数奇な縁で結ばれていました。虎ノ門はかつて西久保と呼ばれ、1657年の明暦の大火後、江戸幕府の新田開発政策により、西久保で暮らしていた人々が玉川上水沿いの現在の武蔵野市へと移転しています。そしてその移転先には、今なお西久保という地名が引き継がれているのです。上水の基盤整備を含む江戸市中の区画整理に際し、幕府が誠意をもって人々に移転を促した歴史を知り、約370年の時を経て完成する今回の再開発においても、過去の記憶を丁寧に語り継ぐことが重要だと考えました。玉川上水の水源である奥多摩からの水や緑を、建物内部に立体的に再構成することで、多摩川流域圏の環境そのものを都市建築の中に実装できるのではないか。その発想が、本プロジェクトにおけるランドスケープデザインの核となっています。


日本最古の庭園書である作庭記には「石を立てるには大旨をこころうべき」と記されていますが、私たちは「ビルを建てるには、都市の中の山河となり得る大旨をこころうべき」だと考えました。

江戸を代表する池泉回遊式庭園になぞらえ、建物で働く人、暮らす人、訪れる人が、経済と環境のダイナミズムを同時に体感できるよう、建物そのものを立体回遊式庭園のような空間として構想しています。江戸期の大名庭園は、中央と地方をつなぎ、政治や経済の交渉が行われる場でもありました。今回、建物の屋上に奥多摩の風景を模した庭園を計画したのは、日本、そして世界の行く末を議論できる場になることを願ってのことです。また、建物を単なる階層の集合体としてではなく、関東平野と地続きの「標高」という概念で捉える環境づくりを目指しました。なぜならば、屋上の庭園から低層の基壇までつながる緑と、目の前に広がる日比谷公園や皇居の緑が、同じ生態系ネットワークによってつながっていることを体感してもらいたいと考えたからです。

そして本計画において最も重要な要素が、水とのつながりです。歌川広重が虎ノ門至近の堰堤を描いた浮世絵からは、かつての虎ノ門市中に水音が響いていた情景が想起されます。東京湾から吹き込む風が奥多摩に雲を生み、雨を降らせる。その水循環のクライマックスとして、この堰堤をモチーフとしたカスケードが、地下と地上を貫いて配置されます。これが、ランドスケープデザインによって描き出した「グローカリズムのプラットフォーム」の風景です。

玉川上水や堰堤に象徴される、上流域と下流域が空間と時間を共有しながら生命基盤を維持してきた仕組みを、現代の都市インフラへと読み替え、屋上から地下へと連続する水循環と緑の回遊動線を立体的に建物内部へ組み込むことで、建築そのものが生命維持装置として機能することを暗示しています。TORANOGATEは、ランドスケープを自然再生や環境配慮のための付加要素ではなく、グローバルな価値観をローカルな文脈で実証する社会基盤として位置づけた、私たちの重要な取り組みの一つです。2027年秋のグランドオープンを目指して鋭意工事中ですので、完成の折にはぜひ足をお運びいただければ幸いです。

 

TORANOGATE (トラノゲート)公式サイト

 

 

ランドスケープの力で未来の風景を描いていくために

 

RJRプレシア東十条ガーデンとTORANOGATE。スケールも文脈も異なる二つのプロジェクトに共通しているのは、人と自然の営みが織り成すランドスケープを「グローバルな価値観をローカルな文脈によって実証するためのインターフェース」として位置づけている点です。

その土地にしかない風景や記憶を頼りに、いま世界が求めている価値や問いを重ね合わせることで、地域は世界と直接つながり、自律的な発展を遂げることができます。ランドスケープは、関係性を取り戻す媒介となり、人と人、人と社会、過去と未来をつなぐ基盤となり得るのです。

不確実な時代だからこそ、「心の置きどころ」ひとつで、世界の見え方は大きく変わります。おもしろきこともなき世をおもしろくするのは、政策の実践でも事業の実現でもなく、そこに関わる一人ひとりの意志ある姿勢なのだと思います。

2026年もランドスケープ・プラスは、社会の変化に応じながら自己修正を繰り返し、常に時代の一歩前へ進む覚悟を持って、皆さまとともに「おもしろい未来の風景」を描いて参ります。

本年も、具体的なプロジェクトや様々な対話の機会を通じて、皆さまとご一緒できることを心より楽しみにしております。本年が皆さまにとって実り多き一年となりますことを、心よりお祈り申し上げます。



2026年1月吉日

 

株式会社ランドスケープ・プラス

代表取締役 平賀 達也




   

RJRプレシア東十条ガーデン

 
 

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