世田谷区立保健医療福祉総合プラザ

Health care welfare overall plaza, Setagaya City

地域の水循環を取り戻すグリーンインフラアーキテクチャー

「世田谷区保健医療福祉総合プラザ」は、隣接する民間施設「東京リハビリテーションセンター世田谷」とともに、区民が安心して暮らし続けられる保健医療福祉の総合拠点を担う「うめとぴあ」の主要施設です。計画地は浸水想定区域に近く、BCP(事業継続性)やDRR(災害リスク軽減)機能を実装する必要がありました。また、周辺には羽根木公園や北沢川緑道などの社会資本がありますが、狭あいな歩道と老朽化した擁壁の存在が相互のつながりを希薄にしており、安全で快適な地域ネットワークの核となる空間整備が求められました。

 

計画地には1925年に都心から青山脳病院が移転します。当時、精神疾患には農作業療法が推奨され、その医療基盤として良質な環境が重要との理由でこの地が選ばれました。その後1952年に東京都梅ヶ丘病院となり2010年の閉院に至る中、世田谷区が高齢化社会の到来をいち早く見据え、官民連携による保健医療福祉の総合化を掲げます。私たちは、設計にあたりこの地が本来持っている緑や水のつながりを施設計画に取り入れるべきだと考えました。そして、市街化によって改変された地勢構造の回復や水循環の再生により、地域医療の持続性を支援できる基盤整備を目指しました。建築計画では、階層構成を「段状緑化」とし、新たに開発した「保水性竪樋」とともに雨水流出抑制機能と蒸散冷却効果を持つエコ減災施設を掲げました。ランドスケープ計画では、既存擁壁を撤去してかつての原地形を「緑の遊歩道」によって復元し降雨の浸透や区民の健康増進に寄与する基盤を創出しました。また、北側斜面地の復元により現れた伏流水を「レインガーデン」に引き入れ、地域の水循環を豊かな生態系とともに観察できる環境を整えています。「グリーンインフラアーキテクチャー」とは、建築とランドスケープが連携しながら減災や健康に寄与する設計思想を持った施設のことです。本施設の取り組みを広くアピールし、世田谷区のグリーンインフラ事業を更に発展していくことも、私たちに課された大きな役割の一つだと考えています。

梅ヶ丘地形図.jpg
梅ヶ丘マスタープランS800A4.jpg

事業名   世田谷区立保健医療福祉総合プラザ

所在地   東京都世田谷区

用 途   診療所、地方協団体支所、店舗、専修学校

事業主   世田谷区

設 計   ランドスケープデザイン:ランドスケープ・プラス

      建築:株式会社佐藤総合計画

規 模   敷地面積/8,710.91㎡ 建築面積/4,600.46㎡

施 工   大成建設

竣 工   2020年

 

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