地域を象徴する緑の丘のようなランドスケープ
大和市は、市域の南北をつなぐ小田急江ノ島線と東西をつなぐ相模鉄道によって、経済や文化の広域ネットワークを発展してきました。その結節点である大和駅から徒歩5分の場所に、大和市が市民の新たな交流と活動を支援する文化創造拠点の計画を立案しました。
ランドスケープ設計者として招請された私たちは、巨大な資金を投下する本施設の建設を通じて、本施設の運営を支える社会資本や人的資源の地域ネットワークを構築することが重要だと考えました。箱物で構成される文化施設だけでなく、地域の社会基盤である自然や歴史を継承できる機能を計画に取り入れることを提案したのです。
私たちが行った調査分析によって、計画地が位置する標高60mの等高線上に大和市の社会的共通資本である河川の源流や神社仏閣が集積していることが示されました。この気づきが施設計画を緑の丘に見立てたランドスケープへと導き、大和市の自然や歴史を学べるテラス空間の創出によって、芸術文化ホール・子育て支援施設・図書館・生涯学習センターといった多機能な施設をひとつの意志ある風景につなぎあわせています。成長社会が終焉を迎え成熟社会に移行する中、地域の自然や歴史に立脚した人材の育成がいま求められています。大和を象徴するこの場所が、大和の未来を担う子供たちにとって地域への愛情や理解を深めるきっかけとなってほしい。それが緑の丘に込めた私たちの願いです。
事業名 大和駅東側第4地区第一種市街地再開発事業
所在地 神奈川県大和市
用 途 図書館・劇場・店舗・神社
事業主 大和市・大和駅東側第4地区市街地再開発組合
設 計 ランドスケープデザイン:ランドスケープ・プラス
建築設計:佐藤総合計画・清水建設JV
施 工 清水建設、生駒植木
規 模 敷地面積:約9,300㎡ 建築面積:約7,400㎡
竣 工 2016年