まちを価値化する地産地消のランドスケープ
計画地周辺は、国道1号や東海道本線といった動脈が東西方向に走り、日本の近代化を担った工場群がまちの中心部を長く占拠していたため、南北方向のつながりが極めて脆弱でした。工場跡地を駅前再開発事業として整備するにあたっては、駅からつながる南北に長い敷地形状を活かし、海からの風を後背地へとつなげ、丘からの緑をまちの中へ引き込むグリーンインフラの構築が必要だと考えました。私たちが考えるグリーンインフラとは、この地の歴史ある景観資源と自然環境を、この地の由緒ある人材資源と建設資材によって継承する社会基盤づくりのことです。設計段階では藤沢市主催の景観部会で新旧のまちをつなぐ設計作法を問い、施工段階では相模川流域の植木生産者やコンクリート製造者を訪ね地元建材を活用した施工技術の教えを乞い、地域に新しく創出されるべき環境と地域が守りつなげるべき風景の見極めを行いました。この地産池消ともいえるランドスケープの試みは、地域の優れた資源を再発見し価値化する次世代型まちづくりの具体例として、震災復興や地域復興を担う関係者から注目を集めています。
事業名 辻堂神台一丁目地区 B-1、B-2、B-3街区
所在地 神奈川県藤沢市
用 途 共同住宅(分譲)
事業主 B-1街区:住友商事
B-2街区:ナイス
B-3街区:大京、一条工務店
設 計 ランドスケープデザイン:ランドスケープ・プラス
建築・構造・設備:日建ハウジングシステム
施 工 B-1街区:東急建設、住友林業緑化
B-2、B-3街区:奥村組、住友林業緑化
規 模 B-1街区:敷地面積:5,000.00㎡
建築面積:1,727.36㎡
B-2街区:敷地面積:3,817.83㎡
建築面積:2,169.30㎡
B-3街区:敷地面積:12,207.75㎡
建築面積:5,909.57㎡
竣 工 2011年(B-1、B-2街区)、2013年(B-3街区)
受 賞 2013年:グッドデザイン賞(住宅・住宅設備部門)