来るべき未来を見据えた街づくり
ウェルビーングタウンをコンセプトに掲げたグリーンスプリングスは、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言の3日後にオープンしました。隣接する国営昭和記念公園が早々に閉鎖される中、グリーンスプリングスでは行き場を失った地域の人々に広場やリビングルームを開放しました。多世代の人々が、ソーシャルディスタンスを守りながら寛いで過ごす姿に、この街のコンセプトが間違いではなかったことを関係者一同が確信したのです。
ランドスケープ・プラスは、プロジェクトの初期段階より事業全体のマスターデザインを司る立場で参画しました。そして、マスターデザインアーキテクトのスタジオタクシミズさんとともに、建築とランドスケープが一体となったマスタープランづくりや、ディテールの検討や素材の選定に至る全てのデザインプロセスに携わってきました。街区の中心に据えた1haの広場に圧倒的な緑と水に包まれたパブリックスペースを設けること、そしてオフィス・レストラン・ホール・ホテルなどの各施設に広場と一体となった縁側的な空間を設けることを掲げ、こころとからだが健康になれる街づくりをプロジェクト関係者全員で目指してきました。
これら一連の事業方針は、皮肉にもアフターコロナの時勢を明確に捉えていました。今後、人々の志向は、依存型から自律型の生活様式へと移行し、企業は短期収益型から長期収益型の経営にシフトしていくことでしょう。その一方で、地域貢献を事業の根幹に掲げる企業が創り出した街には、これらの志向が当たり前のこととして実践されています。激変する世界を見据えつつも、部分最適に逃げず、地域に貢献するという全体最適を変わらぬ姿勢で貫き通す事業方針にこそ、予測不能なリスクに打ち勝つ力があるのです。私たちもランドスケープの持つ力を信じて、来るべき未来を見据えた街づくりにこれらも挑み続けたいと思います。
事業名 GREEN SPRINGS
所在地 東京都立川市
用 途 事務所、ホテル、ホール、店舗、美術館、保育所、駐車場
事業主 立飛ホールディングス
設 計 マスターデザインランドスケープアーキテクト:
ランドスケープ・プラス
マスターデザインアーキテクト:スタジオタクシミズ
プロジェクトマネジメント:フレームワークス、山下設計
照明デザイン:LIGHT DESIGN
サインデザイン:井原理安デザイン事務所
アートプロデュース:スパイラル/ワコールアートセンター
ブランドマネジメント:POOL
建築:山下設計・大林組設計共同企業体、清水建設
規 模 A2地区 敷地面積/28,899.28㎡ 建築面積/24,440.79㎡
A3地区 敷地面積/10,000.92㎡ 建築面積/5,535.46㎡
施 工 大林組、清水建設
竣 工 2020年
受 賞 2021年:日本空間デザインアワード 金賞
2022年:日本建設業連合会 BCS賞
屋上・壁面緑化技術コンクール 国土交通大臣賞受賞
2024年:ウッドシティTOKYOモデル建築賞 奨励賞
2024年:グリーンインフラ大賞 特別優秀賞受賞