グリーンループ構想が描く人が主役となる池袋の未来像
豊島区が税金を使うことなく老朽化した庁舎を建て替えるため、区の所有地を再開発建物の床面積に無償変換し、不足分は旧庁舎跡地を定期借地権で民間に貸し付ける事業計画が組まれました。この事業計画を実現するため、ランドスケープ・プラスには再開発事業地の計画だけでなく、旧庁舎跡地も含めた池袋副都心全体の再生マスタープランの検討が求められました。私たちは、庁舎の移転を契機に、公園や道路といった区が管理する公共空間に民が協働できる仕組みづくりを考案し、池袋駅周辺に点在する公園が人々の新たな拠りどころになれる場所づくりを提案しました。豊かな緑のもとに地域の人々が集えるマスタープランを描いた背景には、新しい庁舎の緑に未来の風景を牽引する力があると信じてのことです。
池袋駅を中心とした半径500m圏内には、旧庁舎跡地に隣接する「中池袋公園」、再整備の検討が進められている「南池袋公園」、そして東京芸術劇場に隣接する「西池袋公園」があります。私たちは、3つの公園を拠点にした緑豊かな公共空間のつながりによって、人と環境にやさしい四季を感じられるまちづくり「グリーンループ構想」を掲げました。新庁舎の完成を契機に、「グリーン大通り」を介して中池袋公園と南池袋公園の連携に期待が高まる中、グリーン大通りが池袋を代表する公共空間の核施設となることで、文化・芸術の交流拠点となる西口との連携強化も担います。公園や道路が街を愛する人材や街を活かす情報をつなぐ場所になることで、新たな価値がここ池袋から生まれることでしょう。グリーンループ構想が描く池袋の未来像が都市の社会資産ともいえる公共空間の在り方を見つめ直す契機になることを心より期待しています。
事業名 現庁舎周辺まちづくり南北区道他デザイン検討
所在地 東京都豊島区池袋
用 途 池袋都市再生マスタープラン
事業主 豊島区
設 計 ランドスケープ・プラス
完 了 2013年