地域のつながりを司る庁舎のランドスケープ
岐阜市の中心市街地は、駅周辺エリアの「都市・交通機能」、柳ケ瀬エリアの「商業・文化機能」、長良川や岐阜公園周辺エリアに代表される「自然・歴史機能」が一定の距離をもって分散しており、新庁舎のランドスケープには、これらの機能をつなぎあわせる役割が求められました。この実現に向けて、私たちは3つの目標を掲げました。1つ目は、庁舎南側を都市や交通の接続点と位置づけ、駅側にむけて都市的な景観をつくりだすこと。2つ目は、庁舎北側の屋上を歴史や文化の象徴とし、金華山や長良川の風景を楽しみながら、地域の自然に触れられる機会を提供すること。3つ目は、行政を司る庁舎と文化を育むメディアコスモスの間につくられる広場が、駅周辺や柳ケ瀬エリアの都市的街並みと旧市街地エリアの歴史的街並みをつなぐ市民活動の拠点となること。庁舎完成直後のコロナ禍により、様々なイベントは中止されましたが、多くの人々が広場や屋上で寛ぎながら過ごす風景は、居心地のよい地域の環境こそが市民の誇りであることを私たち設計者に教えてくれました。岐阜市ならではのゆったりとした時間を積み重ねながら、街全体がつながりながら成長していく様子をこれからも見守り続けたいと思います。
事業名 岐阜市新庁舎建設事業
所在地 岐阜県岐阜市司町40番地1
用 途 市庁舎
事業主 岐阜市
設 計 ランドスケープデザイン:ランドスケープ・プラス
建築:佐藤総合計画・司・Ai設計共同体
サインデザイン:甘利デザイン事務所
規 模 敷地面積/ 20,187㎡ 建築面積/ 5,744㎡
施 工 庁舎:大日本・市川・岐南・共栄特定建設工事共同企業体
立駐:大日本・松永・玉田特定建設工事共同企業体
外構:共栄土木建築(庁舎)、松永建設(立駐)、
市川工務店(広場)、岐阜造園(植栽)
竣 工 2021年
受 賞 2023年:グッドデザイン賞